日本の教育の問題点として、かねてから指摘されていたのが「知識偏重」です。知識を増やすことを良しとする、いわゆる詰込み教育といわれるものです。「教科書や問題集、参考書などの内容をかたっぱしから暗記させるような教育はおかしい」「もっと『考える力』や『問題を解決する力』などを身につけさせるべきだ」という意見が強まるようになりました。そこで、取り組まれたのが大学入試改革です。2020年度(2021年1月)からは、従来の大学入試センター試験に代わって、「考える力」や「問題を解決する力」などが試される大学入学共通テストが実施されます。現在の高校3年生の大学受験生から順次この新しいテストを受けることになります。 こうした流れの中で、気を付けたいのは、「知識よりも思考力が大事だ」「暗記は悪だ」ということでは決してないということです。今回の大学入試改革の趣旨は、今まで知識に偏っていた分、これからは思考力や問題解決能力なども磨いて、バランスをとるということが大事だ、ということなのです。考える力や問題を解決する力の土台になるのは、豊富な知識であり、それがなくては正しく考えることも問題を解決することもできません。つまりこれからは、これまで通りの知識の習得+思考力や問題解決力などを身に着けること、この両方が必要だということです。そういう意味で、現在の高校3年生以下の学年では、学習として、さらには日常生活の中で、取り組むべきことが以前よりもかなり多いということになります。
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