9月24日、東京都教育庁は、公立高校では全国唯一となっている、都立高校全日制学年制普通科の男女別定員制を、最終的には全面的に男女合同定員とする方針を示し、来春の入試から段階的に見直していくことを発表しました。具体的には第一段階として、2022年度入試では10%の定員緩和を109校全校に拡大し、第二段階では10%を20%に拡大、第三段階では推薦入試・一般入試とも男女合同定員に移行する方針です。

 東京都教育庁が今春の入試結果をもとにシミュレーションした結果を公表しています。シミュレーションによると、全面的に男女合同定員に移行すると、都内全校合計で女子の合格者数は約600人増加、その分男子の合格者は600人減る結果となっています。このことは、全校ではないものの、男女別定員制が女子に不利になる(女子の合格ラインが高くなる)ことが多く、もともと男女別では女子の都立高校進学希望率が男子よりも高いことが影響しています。

 10年間ずっと女子の方が高く、4.2%~6.1%差があります。ただし、注意しなければならないのは、公立中3生徒数自体、男子の方が多いことです。2012年度入試では男子39,852名、女子35,816名と男子が4,096名多く、この差は少しずつ縮まってきましたが、今春の入試の2021年度は男子37,952名、女子35,039名と2,913名男子が多くなっています。このため、率では差がついていても、実際の希望者数は2012年度が男子27,138名、女子26,527名と女子の方が少なく、2021年度は男子23,436名、女子23,597名とほとんど同じ人数でした。このように率と人数に違いが出る理由は、中学入試で女子の方が私立中高一貫校に入学するケースが多いため、公立中学校への入学者が少なくなるからです。逆に言えば、その分男子の中学受験での入学枠が小さいからだ、という見方もできます(実際に男子校の学校数は女子校よりもずっと少ない)。(②につづく)

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