9月24日、東京都教育庁より、都立高校入試での英語スピーキングテストの実施とプレテストについて発表がありました。

1. 目的

 都内公立小・中・高校で一貫した英語教育を推進する一環として、中学校での英語4技能育成に向けたスピーキングの指導の充実を図り、同時に都立高校入試でも選抜で英語スピーキングの技能を評価、活用することを目的としています。

2. 「ESAT-J」

 毎年秋に、新たなスピーキングのアチーブメントテスト「ESAT-J」(English Speaking Achievement Test for Junior high school students)を実施し、公立中3生全員の受検が目標で、その結果を都立高校入試の調査書に添付して選抜に活用します。「ESAT-J」は、東京都教育委員会監修のもとに作問し、事業者(今回はベネッセが受託)が実施するもので、「学習指導要領及び都教委の出題方針に基づき出題」、「事実や自分の考え、気持ちなどを伝え合ったりする、話すことの取組の成果を評価する内容」、「結果は話すことの能力を、東京都教育委員会の基準により、段階別に表示する」といった特色があります。公立中3生全員の受検が前提の計画ですが、私国立中学や他の道府県からの転居予定者、海外帰国生なども受検が可能な前提で計画されています。

3. 実施のスケジュール

 2018年に8校約1,000名、2019年に77校約8,000名、2020年に都内公立中学校(義務教育学校を含む)全校約80,000名でプレテストを実施し、課題点を潰しこんだうえで、2021年度から正式にESAT-Jを実施、2022年度から都立高校入試に活用する予定でしたが、コロナ禍による学校休校等を踏まえて、2020年度の80,000名規模のプレテストは中止され、全体のプロジェクトを1年遅らせることになりました。2020年度は600名規模のプレテストとなり、別途校内体験版約8.600名を実施しました。この秋、改めて80,000名規模のプレテストを実施します。今回の結果に基づいてさらに課題点を潰しこんだうえで、来秋正式に実施し、2023年度入試から都立高校入試での選抜の資料になります。

4. 今年度のプレテストについて

 都内には本校・分校遭わせて616校の公立中学校・義務教育学校がありますが、このうち公立中学校508校が会場となるほか、来年度の正規実施に備えて都立高校64校と民間施設1か所も会場としています。正式実施では都立高校を中心とした会場実施で、通っている公立中学校等での実施は、原則として行われないことになっていますが、今年は公立中学校での実施が多くなっています。

 実施方法は、感染防止対策の意味もあって受検者同士の距離を離したうえで、専用のタブレット端末に録音するものとなります。次の図は予定されているタブレット、イヤーマフ、イヤホンマイクの画像で、東京都教育庁の記者発表資料で提示されたものです。

   

 今年度は9/25、10/2、10/9、10/16が公立中学校での集中実施日となっていますが、行事等の関係で11月中旬実施の会場もあります。編集部で都教育庁に問い合わせたところ、今回のプレテストの出題内容は12月上旬の公表予定、受検した生徒への結果返却は来年1月中、結果総括の報告書は来年4月頃が見込まれているとのことです。

5. 来年度の正式実施の日程と評価

 来年度からの正規実施では7月下旬から9月上旬にかけて受検申し込みを受け付け、11月27日(日)に実施、カゼ等での欠席者向けに12月18日(日)を予備日とします。生徒への成績表は1月中旬に渡されます。評価は100点満点のスコアと、東京都教育委員会によるA~Fの6段階で表示されます。

6. 都立高校入試での活用

 都立高校入試での活用は、正式には2022年9月公表予定の実施要項で定めますが、現在の予定が公表されました。予定によると推薦入試では用いず、一般入試・分割前後期で活用することになります。調査書に「ESAT-J」の記入欄が新設され、A~Fの6段階評価を20点満に置き換え、Aは20点、Bは16点、Cは12点、Dは8点、Eは4点、Fは0点とし、現在の学力検査700点+調査書300点や学力検査600点+調査書400点の1000点満点にさらに加算され、1020点満点で運用する予定です。

 なお、11月や12月に実施で、他の道府県からの転居者や海外帰国生などは、前述のように受検が可能ですが、実際にはそのために都内の会場まで出かけることはあまり現実的ではないこともあって、「ESAT-J」未受検者は、英語の学力検査の得点から「ESAT-J」の推定得点を算出し、1000点満点にその値を加えて選抜を行う予定です。

    ㈱エデュケーショナルネットワーク作成の資料をもとにシーエーティ学院が作成