先日ツイッターを眺めていたら、ある日本人の音楽関係のアーティストが語ったという言葉が目にとまりました。 「一番売れているものが一番良いものだというのなら、カップラーメンが一番美味いラーメンだということになる」 現代社会への皮肉と、アーティストとしての意地のようなものが感じられて、面白いと思いました。 とは言え、何をもって良い物とするのか、というのはなかなか難しいことです。考えようによっては、カップラーメンは手軽さ安さという意味で非常に優れた物であるとも言えるし、少なくとも売れているということは何らかの意味で人のニーズを満たしている「優れもの」である証であることは事実でしょう。 ただ、ことアートに関して言えば、売れているもの=良いもの、売れていないもの=悪いものではないと思います。だから音楽でも何でもプロのアーティスト(表現者)は常にアート(自己表現)とビジネスとの間に矛盾を抱えているのだと思います。 私は、自分がプロのアーティストでも何でもないということは承知していますが、ただ、上の言葉が目にとまったのは、我々のような民間の学習教育機関にとっても考えさせられる言葉だな、と思ったからです。学習指導は、目標であったり学習状況であったり性格や健康面など、一人として同じことがない「子供」を対象にしています。一人一人のことを最大限親身になって考えて、その子の置かれた状況をしっかりと把握した上で行おうとすると、おのずと少人数制、あるいはマンツーマン指導になります。それは言ってみれば麺もスープも手作りして、さらにお客様によって一杯一杯味付け盛り付けを変えるラーメン屋さんのようなものです。どれも同じ味のカップラーメンを大量に作り、大量に売るようなやり方は、我々のような個別指導の学習塾とは合いません。カップラーメン教育ではなく、一人一人の塾生を珠を丁寧に磨き上げるようにして教えていきたいし、それを願っている保護者様もきっと多くいらっしゃるはずだと我々は思っています。 民間企業であるからには、一人でも多くの方に受け入れられる塾でなくてはならないと思い精進しつつも、「うちはカップラーメンのような教育を売り物にしてはいけない」という自戒を新たにしている今日この頃です。
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