子供たちが自分で車輪を回すようにさせるにはどうしたらよいか。 私の考えでは、「小さいうちから知的好奇心を養うこと」だ。
人間は生まれながらにして好奇心を持っていることは、幼児が身の回りのあらゆるものに興味を持ち、触ったりにおいをかいだりしたがることでも明らかだが、それはおおむね生命の維持のために必要な知識を身につけようとする本能的な好奇心であり、「知的好奇心」とは違う。知的好奇心は、生きるために直接は必要ではないことに疑問を持ち、その疑問を解明しようとする気持ちであって、それは誰でも自然に持つことができるものではない。それは、それなりの環境があってはじめて養われるものだ。
端的に言えば、子供たちが日ごろ接する大人がどれだけ知的好奇心を持っているかが、その子供たちに大きな影響を与える。特に幼児期から小学生くらいの間は、よく言われるように、大人を見て育つ時期であり、その時期にどういう大人と接するかが人格形成に大きく影響するといってよいのではないだろうか。(この時期に大人から影響を受けるのは、知的好奇心だけに限らず、倫理観や価値観も同じだ)日常生活の中にある物、日常起こる事はすべて知的好奇心の種になりうる。もしもそれらに気づかず、あるいは気づいていても「生活の役に立たないこと」として軽視してしまう大人がいれば、その大人を見ている子供もそうなる。そういう環境で育った子供が中学生や高校生になったときに、急に知的好奇心が芽生えるとは到底思えない。 一見「生活の役に立たないこと」や「生きるのに必要のないこと」が実は知的好奇心を養う種であることを改めて肝に銘じたい。 弊塾では、学習指導だけでなく、その前の段階である「知的好奇心を持つ」ということに対するアプローチを今模索している。 *次回は知的好奇心とは何なのか、について掘り下げてお話したい。 (小口)
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