ニュースレター

2011年 10月 29日発行
先日教室に中学2年生の男の子とそのお母さんが来られ
応接室にお通ししてお話をすることになった。

話を進めていくなかで、その子の学校のテストの成績と通知表の数字を教えてもらったところ、英語だけでなく、主要5科目のほとんどが学年で10番以内に入る成績だった。それぐらいの学力があるにも関わらず、今通っている塾では一斉授業のため標準レベルの問題しか与えられない。だから、ほとんど苦労せず解けてしまう。もっとハイレベルな勉強をして、英検3級を今のうちに取りたい、と本人が言うんです・・・とお母さんが話してくださった。さらに男の子に詳しく聞くと、具体的に高校は都立の某上位校を受験したいと考えていて、高校卒業後は大学に進学したいと考えているとのことだった。
 

本当に学力が高い子というのは、放っておいても勉強しようとする。それは、列車に乗っていて、車輪が回っている状態と同じだ。一度車輪が回り始めてスピードに乗れば、動力を加えなくてもある程度は前に進む。窓の外には次々と見たことも無い景色が現れ、時を忘れてしまう。途中で失速しそうになったらある程度動力を加えてあげれば再び勢いよく前進し、最終的には目的地に到達する。

 学力が伸びない子というのは、乗り方が分からないか、分かっているが乗ろうとしないかのどちらかで、結局は列車に乗っていないのだ。そういう子に対しては「どうして列車に乗らないんだ」と言うのではなく、まずは列車に乗って前に進むことの楽しさを感じさせることが先決だ。本当にそれが実感できれば、子供たちは自分から乗り方を聞こうとし、自分で列車に乗り込み、車輪を動かし始める。
 
物や情報があふれ価値観が多様化した時代に生きる現代っ子たちに、学ぶことの楽しさを感じさせるのは容易なことではないが、だからと言って「車輪が回っていない」子に対して、重たい列車を後ろから人力で押して動かそうとするように、無理やり勉強をさせ学力を上げようとしても根本的な解決にはならない。まずはいかに子供たちを列車にのせて自分で車輪を回すようにさせるか、を考えたい。

*次回は、「どうすれば子供たちが自分で車輪を回すようにさせることができるか」
についてお話したい。
(小口)