私たちが学習指導で大事にしていることに、「勉強を教えるだけでなく、勉強のやり方を教える」ということがありますが、それをもう少し具体的にお話ししたいと思います。 小学6年生が学習する「組み合わせ方」という単元で、次のような2つの問題があります。
① A,B,C,D、Eの5つのチームがサッカーの試合をします。どのチームも、違ったチームと1回ずつ試合をするとき、試合は全部で何通りありますか。 ② 500円、100円、50円、10円、1円の5種類の硬貨があります。これらの中から異なる2種類の硬貨を選んだときの合計金額をすべて答えなさい。
この2つの問題は、どちらも「5つのものから2つを選ぶ選び方を考える」ということで共通しています。ですから、問題の解き方はどちらも同じです。(答え方は違いますが) これは簡単な例ですが、一見違うように見える問題でも本質は同じである、ということに気付くことが学習では非常に重要です。特に算数や数学では、一つの定理や考え方を使って様々な問題を解いていく必要があるので、この「本質を見抜く」能力、言い換えれば与えられた問題の本質的な共通点を見つけていく能力が非常に重要になりますし、他の科目でもこの能力は欠かせません。前回のコラムで暗記の重要性について書きましたが、それは言わば「知識」の部分で、それと同じくらい、暗記したことをいかに活用するかということ、つまり「知恵」の部分も大事なことであり、その時にこの「本質を見抜く能力」が必要になってくるわけです。 私たちが学習指導で心がけている「勉強のやり方を教える」ということは、この「本質を見抜く力」を身に着けさせるということに他なりません。与えられた問題の本質を見抜き、自分の中に、その与えられた問題を解くための手段をいくつ持っているのか、そして、そのうちのどれを使えばその問題を解くことが出来るのか、ということを常に考えられるような生徒を育てたい、と私たちは考えています。
|